株式投資する投資先の選び方(財務諸表・損益計算書編)

今回は投資先となる企業(銘柄)の選び方から財務諸表・損益計算書編と題して、企業分析をする際に重要な財務諸表損益計算書についてまとめていきます。

財務諸表は経営者や個人事業主といった自らも事業をしている人ならば身近な存在です。
一方、経理担当者や税理士など一部の財務関係を仕事にする人を除くと未知の世界、普段の生活では関わらない要素です。

とはいえ、厳密には私たちの生活も自分自身の財務状況を把握したり管理する必要があります。
本来は一人一人が「自分株式会社」を持っており、収入と支出をコントロールしなければなりません。
しかしそれができている人はごくわずかでしょう。
私も自分で独立・起業するまでお金のことには無頓着でした。

それはさておき、私たちの大事な資金を投資する上で企業分析をするわけですが、その企業がどんな財政状況なのかを知るのは重要です。

財務諸表は、いわば会社の健康診断書ともいえます。
私たちの身体も健康診断で様々な数値を算出して良し悪しを判断すると思います。
株式投資における企業選び(投資先の選定)も全く同じことが言えます。

もちろん数値が良くても目に見えないマイナス材料はあり得ますので万能とは言えませんが、少なくとも自分が買いたいと考えている企業の財務諸表は確実にチェックしておくべきです。

そこで今回は財務諸表の基本と財務諸表の1つである損益計算書の基本的な項目をまとめていきたいと思います。

財務諸表とは?

財務諸表とは企業の一定期間の経営成績、財政状態、キャッシュフローの状況を利害関係者に報告するための書類です。
財務の「諸々」を表にしているという文字からもイメージできますが、この「諸々」が重要になります。

一般的には「決算書」とも呼ばれていますが、株式投資が関係する金融商品取引法では財務諸表と呼ばれています。
つまり株式市場で公に使用される言葉が財務諸表となりますが、認識としては決算書と同義と考えて問題ありません。

また、決算書は1年に1回集計されるものですが、変化の激しい株式市場において1年に1回だけの公表では遅すぎるので四半期に一回、中間決算も発表されます。

こうした財務諸表は株式投資に限らず会計士や税理士、あるいは企業の経理担当者も知識として学ぶ機会がある分野です。

とはいえ、ここでは会計士になることを目指しているわけではありません。
株式投資に必要な、言い替えれば投資家にとって必要な視点でまとめていきたいと思います。

今回は損益計算書についてです。

損益計算書(P/L)

損益計算書とは企業の損益を集計した書類です。
「Profit and loss statement」の略称であることから「P/L(ピーエル)」と呼ばれることも多いです。

よく「売上〇億円」とか「営業利益〇千万円」といった見出しやニュースを目にすることも多いとも思いますが、こうした企業の売上や利益に関する数値を集計したものです。

損益計算書では収益・費用・利益の3つの要素で構成されています。
収益とは「どれだけ売上があったか」、費用とは「何に費用を使ったか」、利益は「収益から費用を差し引きして残った利益=儲け」です。

そういった意味で個人の生活でも該当しますという話を冒頭でも書きましたが、企業の事業活動にも全く同じことが言えます。ただ規模が異なるだけです。

ここでは損益計算書の中から、特に重要な項目(厳密には勘定科目)をピックアップします。

売上高

株式投資をしていない人でもよく耳にするであろう「売上」。

売上高の定義は本業(定款に示す業務)で稼いだ収益を意味します。
(つまり本業以外、例えば有価証券売却益や不動産収入などは含まれません)

ここで大事なのは「売上が多ければ良いとは限らない」ということです。
確かに売上が右肩上がりで上昇し続けている企業は株価も上がりやすい傾向にあります。

ただし本当に大事なのは後ほど記載する「営業利益」あるいは「純利益」です。
また、別の記事でまとめますがキャッシュフローも会社経営においては重要です。

会社経営で重要ということは、その企業に投資する投資家にとっても重要な指標になってくると言えます。

そういった意味で売上高の「金額」をみるのではなく、この後記載する費用や利益なども含めて俯瞰的に分析するのがオススメです。

売上原価

売上原価とは売上高に対応する費用のことで、製造業なら原材料費、小売業なら仕入費用などが該当します。

ここで注意が必要なのは「人件費は含まれない」ということです。
経営者や事業主、あるいは経験を積んだ投資家なら当たり前のことですが、株式投資初心者で損益計算書を知らない人だと勘違いする人も少なくありません。

あくまでも原材料や仕入れなどの調達にかかった費用(=原価)となります。

売上総利益

売上高-売上原価=売上総利益
売上高から売上原価を引いたのが売上総利益。
「粗利益(粗利)」(あらりえき・あらり)とも呼ばれるので、その方が親しみある人もいるでしょう。

この「売上総利益(粗利益)」には人件費や広告宣伝費などが含まれていない、言い替えれば「単純に売上と原価を差し引いた数値」になります。

つまり売上総利益の時点で赤字になっている企業は相当厳しいと言えます。

理由は単純で、本業の儲けより製造コストあるいは仕入れコストが大きいからです。
一時的に製造コストや仕入れコストが上がることもあるにはありますが、これが連続するようであれば「ビジネスモデルそのものが失敗している」としかいいようがありません。
もしくは「販売力がない」か「原価が高過ぎる」とも言えます。

余程のことが無い限り売上総利益の時点で赤字の企業は投資すべきでは無いと考えます。

販売管理費

販売管理費は正式には「販売費および一般管理費」と呼ばれています。よく「販管費」と省略する使い方もします。

この販売管理費に人件費、広告宣伝費、交通費、販売手数料など事業を行う上で必要なほとんどの費用が該当します。

私たち投資家はこの販売管理費の中から、特にその企業が「何に多くの費用を使っているか」をチェックします。
金額では分かりにくいので割合を見るのがいいでしょう。

これは業種によって様々ですが、例えば商品を販売する小売店であれば人件費、家賃、交通費、水道光熱費など「人と場所」に関する費用とお客さんを集めるための広告宣伝費が多くなる傾向にあります。

逆に仕入れや在庫が要らないコンサルティングやIT関連の場合は人件費(家賃)が多くを占めることになるでしょう。

こうした費用も社員数が少なければ微々たるものですが、上場企業ほどの規模感であれば数百人、数千人あるいは数万人単位になります。
そうなれば数字もおのずと大きくなり、売り上げに対する影響も大きくなると言えます。

株式投資においては販売管理費の中でも重要な項目の割合を分析します。

例えば人件費が増加している企業なら「採用を積極的に行なって事業強化を図っている」と分析することもできますし、「事業が伸びていないのに人件費ばかり掛かってしまっている」といった分析をすることもあります。

全く同じ販管費の項目でも企業の状況や成長性によって異なるので判断が必要です。

営業利益

売上総利益-販売管理費=営業利益
売上総利益から販売管理費を差し引いたのが営業利益。

会社経営でも株式投資でも営業利益こそ本業における利益もしくは損失となります。
つまり営業利益が黒字であれば本業で稼げており、赤字であれば何らかの理由で損失が出ていることを意味します。

ここで何度も「本業」と書いているのは理由があります。
本来、上場していない企業であれば「営業利益」までがメインであり、それ以降の科目はそこまで重要ではありません。
また上場企業でも本業以外の活動が少ない企業なら分析がしやすいです。

しかし上場しているほどの企業規模であれば、それ以外にも様々な方法で収益(あるいは費用)を計上しています。

そのため投資家によって「本業の儲けを示す営業利益をみればOK」という人もいれば、更にその下、これ以降に記載する科目まで分析する人もいます。

経常利益

営業利益+営業外収益-営業外損益=経常利益
営業利益に営業外収益を足し、そこから営業外損益を差し引いたのが経常利益。

「営業外」と書いてある通り、これが「本業以外」の収益や費用です。
多くの場合、不動産収入や利息、株式の売却益や配当が該当します。

本業に専念するのが当たり前と言えば当たり前ですが、上場企業であれば、本業ではないけど事業の一環として不動産を所有していたり、あるいはグループ会社の兼ね合いで株式を保有していることは珍しくありません。

分かりやすい例としては親会社も子会社も上場している場合、親会社が子会社の株式を保有しており、その一部を売却すれば売却益が出ます。

また不動産業者や金融業者ではなくても、個人が行なうのと同じように株式投資や不動産投資を会社として行なっているケースもザラにあります。

特に規模が大きくなればなるほど、本業以外の収益や費用も大きくなるため無視できなくなります。

こうした観点から経常利益が黒字か赤字かを判断材料にする投資家の方もいらっしゃるでしょう。

逆にこれ以降の科目である「税引前純利益」と「純利益」は税金や特別利益、特別損失など臨時的な扱いの収支を計上する科目なので、そこまでは重視しないという場合もあります。

もちろん純利益が最終的な儲けを示していますので、そこまでがきっちり黒字になっているのが理想的です。
とはいえ、黒字だから良い、赤字だから悪いとも言い切れないのが株式投資の難しいところなのです。

赤字が悪いわけではない

一般的には黒字なら良い、赤字は悪いとされています。

黒字が続いていれば順調、赤字が続けば会社経営が危ない、そんなイメージが強いでしょう。

しかし、株式投資(株式市場)においては必ずしもそうとは限りません。

つまり黒字でも株価が下がることもあれば、赤字でも株価が上がることもあります。

ここでは割愛しますが、簡単に言えば「黒字でも想定していたより小さい黒字」だと評価が下がって株価は下がる、もしくは上がらないことがあります。
逆に赤字予想の会社の赤字が予想よりも少ない(赤字幅の縮小)場合は好感が持たれて株価が上がることもあります。

不思議なものですが、これも最終的に株式市場は人が動かしているという本質を考えれば腑に落ちます。

つまり、人は単に赤字か黒字かで判断しているわけでは無く、その時の成長性、話題性、将来性、期待感といった「目に見えない要素」も加味しているのです。

もちろん感覚だけで取引すれば痛い目に遭います。

今回まとめた損益計算書と、これから記事にする貸借対照表、キャッシュフロー計算書の分析は必要最低限の作業です。

とはいえ、最後は数字だけでは読み取れない人間心理が株価に影響することも頭の隅に置いておくのがオススメです。

私も肝に銘じて株式投資に取り組みます。

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